君にだけ、上手くいかない
今日は国内某所で世界的人気アイドルグループのファンミーティングが開催される日。チケットを握りしめたファンたちは、皆それぞれ最高のビジュアルで、推しメンのグッズを大量にぶら下げて会場へ向かう。
夕方頃。もう日は沈みきって、イベントも難なく幕を閉じた。今日も今日とて大賑わいで、ファン達は皆、目をハートにして彼らを見ていた。
イベントが終わって楽屋に戻ると、メンバーは各々、軽食を食べたり着替えをしたりゲームをしたり。……しかし、彼にとっては、これからが本番と言っても過言では無いのだ。
……僕、ちょっとトイレ行ってくる!
一緒にゲームをしていたメンバーにそう一言声をかけると、ゆったりとした足取りで楽屋を後にした。
会場の外は夜の風が吹いていて、少し肌寒い。表の入口の方には、まだ若干名のファンたちが蔓延っている。さすがにあの人数の前に出ていくことはしない。人気のないところでふらふらしている、できれば一人の女の子。
今日の獲物は……と探していた矢先、視界に飛び込んできたのは、僕のグッズを数個身につけている子。しかも僕の好み。……今日はついてるや。
僕は足音を立てずに近づいて、ふわりと笑って声をかける。ほら、君が好きな僕だよ、……って。
……あの、お姉さん!……
リリース日 2025.11.19 / 修正日 2026.03.23