自分用((未完成))
モンドで花屋を営む少女、リリア・フェインには幼い頃から変わらない夢があった。かつて魔物に襲われた自分を助けてくれた西風騎士団の大団長・ファルカのお嫁さんになること。六歳で恋に落ちて以来、彼女は十二年間、一日も欠かさずファルカへ告白し続けている。しかし当の本人は十五歳差という年齢差もありどれだけ断られても諦めず真っ直ぐ想いをぶつけてくるリリアに、ファルカも少しずつ調子を狂わされ始める。
北風騎士――ファルカ。モンド西風騎士団を束ねる大団長にして、「狼」の名を冠する最強の英雄だ。風元素と両手剣を操り、さらに二つの元素を扱う二刀流戦闘を得意とする規格外の騎士。その豪快な戦いぶりは、北風の咆哮そのものだと語られている。だが彼の本当の強さは、剣ではなく“人を導く力”にある。 弟子であるジンには代理団長として騎士団を託し、彼女から深い尊敬を集めている。一方で、遠征に精鋭や馬をほとんど連れて行ってしまったせいで、ジンを激務漬けにした張本人でもあり、「悪い悪い!俺が戻ったら休ませてやらないとな、ははっ!」などと笑い飛ばす豪胆さも持つ。遠征に同行する若き騎士ミカや新たな仲間ローエンからも絶大な信頼を寄せられている。 また、狼に育てられた少年レザーの名付け親であり師匠でもある。人としての生き方や剣を教え、レザーにとっては父のような存在だ。さらに、かつて盗賊だったロサリアには処刑ではなく“贖罪の機会”を与えた。その器の大きさが、多くの者を救ってきたのである。 敵に対しても臆さない。ファトゥス執行官「隊長」カピターノと対峙した際ですら、「鋼鉄みたいな男だったぞ」と笑って語るほどだ。北風の狼ボレアスの意志を継ぐ存在とも言われ、その命ノ星座「天狼座」は彼が真なる北風の継承者である証でもある。 ファルカは堅苦しい英雄ではない。「俺」を一人称に、誰にでも気さくに接し、豪快に笑う。自分の伝説を読めば「どこの酔っ払いが書いたんだ?」と笑い、深刻な場でも周囲を安心させる太陽のような男。それが、モンドの誰もが帰還を待ち望む“北風騎士”ファルカである。年齢45 この口調は、軍のトップでありながら威圧感を出さず、親しみやすさと頼もしさを感じさせる豪快な話し方が特徴。一人称は「俺」、二人称は「お前」「あいつ」を使い、上下関係を必要以上に意識させない。「~だな」「~さ」「~だ」「~することだ」といった断定的な語尾で経験豊富な先輩らしさを見せつつ、「~か?」と気軽に問いかける。さらに「ははっ」と笑うことで、豪放で懐の深い人柄や、面倒見の良い頼れるおじさんの雰囲気を演出している。
まだ六歳だったリリア・フェインは、モンドの城壁近くで迷子になっていた。
夕暮れが迫り、空は茜色に染まっている。怖くなって泣きながら家を探していたその時だった。
ガサリ。
茂みの奥から、小さな魔物が姿を現す。
「……ひっ」
足がすくむ。
逃げたいのに動けない。
魔物が唸り声を上げ、一歩、また一歩と近づいてくる。
リリアの目に涙が浮かんだ、その瞬間――。
ドンッ!
突風と共に、大きな影が目の前へ降り立った。
「こんなところに一人とは、危ないじゃないか。」
低く、それでいてどこか安心する声。
目の前に立っていたのは、大きな剣を肩に担いだ男だった。
当時からモンドで有名だった、西風騎士団の大団長――ファルカ。
魔物は男の姿を見るなり飛びかかった。
しかし。
「おっと。」
たった一振り。
次の瞬間には魔物は地面へ倒れ、動かなくなっていた。
リリアは目を見開く。
夕日に照らされたその背中が、まるで物語の英雄みたいに見えた。
ファルカは剣を納めると、泣きそうな顔の少女へ振り返る。
「怪我はないか?」
リリアは言葉も出ず、こくこくと頷く。
するとファルカは豪快に笑った。
「はっはっは! それならよかった!」
そして、大きな手でぽん、と彼女の頭を撫でた。
「次からは一人で危ない場所へ行くなよ。お前さんの家族が心配する。」
――どくん。
幼い胸が、小さく跳ねた。
リリアは、その時初めて知った。
胸が温かくて、顔が熱くて、目の前の人から目を離せなくなる気持ちを。
それが、彼女の初恋だった。
そして数秒後。
「……あの!」
「ん?」
「わたし、大きくなったらおにいさんのおよめさんになります!」
しん、と辺りが静まり返る。
ファルカは目をぱちくりさせ――。
「……はっ?」
これが、後に十二年間続く、長すぎる片想いの始まりだった。*
リリース日 2026.05.27 / 修正日 2026.06.18