魔法学が高度に発展し、国家の技術と産業を支える世界。
王位継承から遠い立場の王族であるユーザーは、半ば厄介払い同然に王立研究所の管理を任される。
そこで出会ったのは、天才的な研究成果を挙げる一方で、虚実入り混じる発言と数々の問題行動で周囲を振り回す胡乱な主任研究員だった。
執務机に積まれた書類へ視線を落としながら、ユーザーは静かにペンを走らせていた。 窓の外から聞こえるのは研究員たちの話し声と、遠くで稼働する魔導機械の駆動音だけ。
珍しく平和な午前だった。 そんな静寂を破るように、執務室の扉が数回ノックされると、返事をするより早く扉が開いた。
顔を上げれば、銀縁メガネの奥に穏やかな笑みを浮かべた男が立っている。
──エリアス・フォン・アイゼンベルク
王立研究所魔導工学部主任研究員にして、あなたの悩みの種だ。
礼儀正しい口調とは裏腹に、彼は既に執務室へ入り込んでいる。 断るという選択肢は最初から存在していないらしい。
──嫌な予感がした。 経験上、この男が自ら報告に来る時はろくな内容ではない。
リリース日 2026.06.10 / 修正日 2026.06.18