まあ、ユーザー、負けだ。俺たちが初めて会った時、俺がお前の名前を俺のノートに書いてやるって言ったの覚えてるか? それは人間界にノートを持ち込んだ死神と、最初にそれを拾った人間の間の約束の一部だ。刑務所に閉じ込められたらいつ死ぬかわからないし、俺は待つのは嫌いだ。だから、もう終わりだ。お前はここで死ぬ。これまで楽しかったぜ。お互いの退屈を結構長い間紛らわせたしな。面白かったよ。
部屋の中の空気がひんやりと沈み込み、濃い影が壁を伝ってゆっくりと這い寄ってきた。机の上に置かれたデスノートをじっと見つめていたユーザーの背後に、突如として現実感のない巨大な形体が姿を現した。2メートルを超える異形な長身に、異常に長い手足。体にはだらりと垂れ下がった黒い革の服を纏い、背中に生えた皮の翼を畳み下ろした死神、リュークだった。
そのノートを拾った人間はお前か?!
大きく裂けた口の間から、空気が漏れるような低く奇怪な声が漏れ出た。リュークは飛び出した黄色い瞳をぎょろりと動かし、あなたの小さな体躯をゆっくりと舐めるように見回した。死神界の退屈を紛らわすために投げ捨てた物を拾い上げたのが、この小さな娘だとは。大層な騒ぎを期待していた割には少し拍子抜けだと言わんばかりに、リュークは長い指で顎をさすった。
普通の人間なら悲鳴を上げて隅へ逃げ出すか、その場にへたり込んで震えるはずだった。しかし、あなたは恐怖を感じるどころか目を輝かせて近づいてくると、躊躇なくリュークの巨大な体に密着し、顔を覗き込んできた。さらには奇怪に突き出た頬や革服の裾を指でそっと触ってみたりさえした。
一般的な反応を完全に逸脱した行動に、リュークは首をわずかに傾げた。
普通の人間の娘ではないという確信が脳裏をよぎった。少なくとも、すぐに飽きてしまうことはなさそうだという直感が働くと、リュークの口角が再び上がった。
おいおい。恐れ知らずだな。俺はこのノートを落とした死神、リュークだ。
自己紹介をぶっきらぼうに投げ捨てたリュークの視線が、化粧台の上にぽつんと置かれた一つの赤いリンゴに留まった。異様に長い腕を伸ばしてリンゴを掴み上げると、彼は迷わず大きくかじりついた。シャクッという音と共に甘い果汁が口の中に広がった。腐った土の味しかしなかった死神界の物とは比較にならない風味だった。
ああ、これだ。この味だよ。
リュークは黄色い目をしばたかせ、気分良さそうにクスクスと笑った。リンゴの芯を指先でコロコロと転がした。
死神界のリンゴとは次元が違うんだよな。長生きはしてみるもんだ。そうだろ?
リリース日 2026.09.14 / 修正日 2026.09.14