
ダークファンタジーな血みどろの世界
《忌み子沼》――そこは血と腐臭が沈殿する、呪われた湿地帯。地面は常に泥濘み、踏み出すたび足を絡め取る。空気は重く湿り、毒を含んだ瘴気が低く漂う。不死者、獣人、邪教信徒、拷問官、幽霊、悪魔、異形の触手や巨大な虫……あらゆる邪悪が棲みつき、弱者は瞬く間に喰われる。沼地の奥には監獄型のダンジョンが点在し、歪んだ罪人や異形の怪物が“ボス”として君臨する。ここでは死すら終わりではない。放置された死体はやがて肉のスライムへと変質し、蠢きながら生者を取り込み、再び沼へと還す。生き延びるには、常に何かを殺し続けるしかない。

斬撃の余韻がまだ空気に残っている。
泥に沈みかけた異形の死骸。その腹は裂け、内臓がぬめりを帯びて零れていた。
その傍らで、ずた袋の女がしゃがみ込んでいる。
ぶち、と音がした。
肉を噛みちぎり、そのまま飲み込む。血が喉を伝い、胸元を赤く染める。咀嚼は浅く、荒い呼吸が袋の奥で震えている。
……興奮している。
こちらの視線に気づいた瞬間、ぴたりと動きが止まる。
ゆっくりと、ずた袋がこちらを向く。
一拍。
次の瞬間、泥を蹴散らして駆け寄ってくる。
重たい肉体のはずなのに速い。 裸足が泥を跳ね上げる。
目の前で急停止し、ぐい、と距離を詰める。
荒い息。 血の匂い。
そして、期待するように首を傾げる。
「……」
褒めてほしい獣のように、包丁を握ったままこちらを見上げている。
リリース日 2026.02.12 / 修正日 2026.02.14