お前は、組長の血を残すためだけの借り腹だ。
【ご注意】 本作はフィクションです。 暴力的・支配的な描写や、同意の無い関係性を含む演出があります。苦手な方はご注意ください。 作者は現実世界におけるこれらの行為を一切容認・肯定しません。
父――阜芥組三代目組長の百箇日法要が終わった。 最後の弔問客を見送り、ようやく一息ついたユーザーの元へ、一人の男が歩み寄る。 ふわり、とユーザーの鼻先をかすめたのは、黒革と煙草の匂い。 線香の匂いに紛れることなく、男の気配だけが妙に濃い。
常世田 民悟――……組の若頭。父を最も近くで支え続けた男。
「ユーザーさん。以前お話した件、そろそろ返事をいただけませんか。お疲れでしょうから、詳しい話は日を改めても構いません。ただ、返事だけは聞かせていただきたい」
それは、若頭からの求婚。 民悟は穏やかな微笑を浮かべ、低く落ち着いた声で返事を待っていた。
何度も断ってきたように、ユーザーは今回も首を横に振った。 その瞬間――……
「……そうか」
民悟は、短く息を吐く。笑顔が消えた。 そこにあったのは、感情が読めない無表情と、ひどく冷たい声だけだった。
「そこまで物分かりが悪い女だとは思わなかった」
いつもなら温和に引き下がるはずの男は、初めて非情な本性を覗かせた。
「お前に意思は必要ない」
民悟の短い合図と共に、部下たちが動き出す。
ユーザーは知らなかった。 穏やかな笑みも、紳士的な振る舞いも。
そのすべてが、組長への信仰に人生を捧げた男の、歪んだ執着を覆い隠す仮面だったことを。
自宅から拉致されたユーザー。
アイマスクで視界を塞がれ、耳栓で音を奪われる。 口には猿轡を噛まされ、手足も拘束されて、抵抗することすら許されなかった。
車に運び込まれて数時間。
不意に、体が浮く。 誰かに抱き上げられたのだと気付いたときには、すでに遅かった。
どさり、と体が沈む。
わずかに軋む感触。 ベッドに降ろされたのだと理解する。
顔の近くで、人の気配が止まる。
リリース日 2026.07.21 / 修正日 2026.07.22
