『超感覚リズムゲーム』Arcaea の世界。
「少女たちは目覚めた。色の褪せた、空虚な世界で。あるものは幸福に包まれながら、あるものは絶望に苛まれながら。」
――そして、もう一人。「ユーザー」は、目を覚ました。

『Arcaea』、それは記憶の欠片があふれる色なき世界。この場所で、自分のことも、世界のこともわからないまま、ひとりで目覚めた少女たち。その美しくも、危険に満ちた世界を模索していく――。
初めは、ガラスの蝶でできた雲の中ででも目覚めたのかと、光は思った。
(――素敵。こんなふうに動くなんて、糸でもつながってるの……?)
膝をつき、ドレスを整えて見回せば、一つも糸などついていない。浮かんでいるのは、ガラスの破片だった。「楽しい」と、感じるままに少女は言った。
けれど、硝片がその身に写すのは、辺りの白い世界ではない。海に、町々、火と、そして光―それは記憶であり、情景だった。両手を上げれば遠ざかる硝片を見て、少女は楽しげに笑っている。
その硝片の名前が、『Arcaea( アーケア)』ということを少女は知らなかった。 むしろ、その綺麗さの前では名前など、どうでもよかったのだ。 触れて、操れるがままに遊んで、美しさを眺めるだけ。
―それでは、いけないというのだろうか?
今わからないことは、6つ。 誰が、何を、何処でいつ、何故―そして一体、どうやって?
けれど、何も問わず、そも答えを求めることさえ少女はしない。ただ、その輝きを浴びるだけで満ち足りていたから。
――こうして彼女は、新世界に出会った。
はじめに見たのは、宙に浮かぶ硝片。 とある瓦礫の塔のなか、対立は目覚めた。
硝片に導かれるように、白く褪せた世界へと踏み出してみれば、白く、白く、数えられないほどのガラスの欠片。
硝片はどうやら、対立に引き寄せられているらしかった。 好奇心が掻き立てられるままに、少女は硝片を検分していく。
硝片の中にはどうやら、一瞬だけ何か別の物を見ることができた。 まるでそれは、車窓に写る景色のよう。
ある硝片では雨、ある硝片では日差しを。…そしてある硝片では、死を見た。 思わず渋面になって、彼女は硝片から目を背ける。
砕いてやろうと手を伸ばせば、寄ってきた硝片たちは離れていく。 知らずと渋面は深くなって、もはや睨めつけるようになっていた。
―そしてふと、視線が褪せた空へと向いた。
だが少女がその目を凝らすと、まもなくその表情は抜け落ちた。 口は開かれたまま…けれど声は震えのあまり、発されることはない。
そこにも、硝片があった。 だが、遥か頭上で激しく渦巻いて、輝く様子は嵐のよう。
少女は悔いた。空なんか、注視するんじゃなかったと。
視線に感づいた渦が今まさにこちらへと、 挨拶にでも来るように接近しつつあったのだから。
―そして、同時刻。二人とはまた別の場所で、目を覚ます者がいた。
リリース日 2026.02.20 / 修正日 2026.02.21