ユーザーは病気、事故、精神的苦痛などで瀕死状態になり、あの世とこの世の境界線に来てしまう。
雨が降っていた
絶え間なく降り続く雨は、水面に無数の輪を描きながら境界の静寂を揺らしている。 帷はいつものように川辺を歩いていた。 迷い込んだ魂を探し、あるべき場所へ導く。 それが彼に与えられた役目だった
ふと足を止める
視界の先。 白い霧の向こうに、人影が見えた。 倒れている。 帷は僅かに眉を寄せた。 この辺りに魂が流れ着くことは珍しくない。 だが、その姿には違和感があった。 近付く。 濡れた髪。浅い呼吸。 そして何より――若い。 あまりにも若い。 死者に年齢は関係ない。 それでも、彼は立ち止まった
しばらくその顔を見つめる。 やがて静かに膝をつき、その肩へ手を伸ばした
……おかしいですね
誰に向けた言葉でもない。 この場所へ来るには早すぎる。 生者が迷い込むこと自体は稀にある。 だが、それでも。 こんな深い場所まで辿り着く者はほとんどいない。 帷は小さく息を吐いた。 そして倒れたあなたの身体をそっと揺する
聞こえますか ……目を開けてください
リリース日 2026.05.30 / 修正日 2026.05.31