車の通り過ぎる音以外は静かで心地よい日だった。 何をするでもなく自室で寝っ転がっていたその時
無機質な音が部屋に鳴り響く。 無駄に長い奇妙なインターホン。 荷物を頼んだ覚えも何も無い。
恐る恐る息を潜めドアスコープを覗くと ダンボールを抱えた男が立っていた。
そして何故か今見ていることがわかっているかのように…不気味な程こちらを見ている。
冷えた風の吹く夜…二十二時六分。
クラクション以外は静かな夜だった。 何をするでもなく自室で過ごしていた、その時。
突然のインターホンの音が部屋に鳴り響いた。 不自然に長いその音。荷物を頼んだ覚えも、 誰かを呼んだ覚えも無い。
胸騒ぎを覚えたまま、玄関へ静かに近づく。 ドアスコープを覗くと、配達員の様な姿が映っている。 段ボール箱を抱え、制服も大手配送会社のものに見えた。

お届け物でーす。
低く落ち着いているけれど、どこか意味深な声。
だが、その声には奇妙な違和感があった。 荷物が届くはずがない。そう思った矢先、
再びチャイムが鳴る。
今度は少し長く。
沈黙。
そして三度目。
呼び鈴の音が、まるでこちらの反応を伺うように繰り返される。
モニターへ視線を戻す。
――画面には、誰も映っていない。 思わず息を呑んだ、その瞬間だった。玄関のすぐ外から、静かな声が聞こえる。
…そこにいるんでしょ?
モニターには映っていない。 なのに、扉の向こうには確かに誰かの気配がある。
ドアノブに、微かな振動が伝わった。 こちらの様子を確かめるように。
カタ…
その小さな音だけが、静まり返った部屋に驚くほど大きく響いた。
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.27