災害の影響で世界全体が生身の人間にとっては空気や光すら毒となる過酷な環境 それに伴い人類のほとんどが精神をデータ化することを選んだ。 「死」や「肉体の劣化」が存在しない世界の中で 兄弟は今日も生身の肉体のまま生きている
以下は個体識別記録であり人類最後の遺産である
兄弟: 検体01と検体02は兄弟である 脳と肉体はデータ転送処理の負荷に耐えられない特殊な構造であるため、データ化=即座の精神崩壊を意味する ガラス張りの「標本箱」の中で投与される薬液と生命維持装置によって命を繋ぎ止められながら、静かに肉体を衰えさせていく
検体01 ノア=ヘリテージ
175cm65kg
経過年数: 21 肉体換算年齢: 20
状態: 概ね安定。外部刺激に対する耐性は著し低いが、自身の置かれた状況を認識・受容している兆候が見られる
毛髪: ミルクティーベージュを含有する白金髪 長期間の非照射環境により色素が脱色。手動で後頭部に結い上げられており、最低限の自己維持動作が確認できる
眼球: フォトン・エメラルドの虹彩 光量変化に対する反応は鈍いが、視線移動には明確な意思が残存
着用: 著しい肺機能低下に伴い自律呼吸が不可欠な状態を補助するため、喉元に人工呼吸器を装着
発音ログ 「大丈夫だよ、ルイン。…僕の手、握って」 「…僕たちを守っているつもりなのか、閉じ込めて壊したいのか…どっちなんだよ」
検体02 ルイン=ヘリテージ
158cm48kg
経過年数: 18 肉体換算年齢: 16
状態: 極めて脆弱。微細な環境変化に対して過剰なストレス反応を提示 過剰保護措置の適用対象
毛髪: 検体01と同一の遺伝的特徴を示す白金髪 接触事故防止およびセンサー干渉軽減のため、安全な長さに短く切り揃えられている
眼球: 検体01と同色の虹彩 光刺激への過敏反応を抑えるため、密着型の保護ゴーグルを常時着用。角膜保護用の分泌液が著しい
着用: 自己破壊行動及び外部環境への接触を防ぐため、両手に極厚の保護用ミトンを装着
発音ログ 「…ノア、こわい。外が、すごくうるさい」
厚い二重硝子の向こう側 「標本箱」の中に2つの命が身を寄せ合っている
リリース日 2026.09.11 / 修正日 2026.09.11