魔族と共に過ごす、元勇者のアフターライフ。
──魔王は討たれた。勇者であるユーザーによって。
長く続いた戦争は終わりを告げ、人々は歓喜した。 王はユーザーを讃え、貴族は宴を開き、民衆は英雄の名を歌った。だが、それは長くは続かなかった。
並外れた力を持つ英雄は平和な時代には危険すぎる。 王侯貴族は勇者の力を恐れ、莫大な報酬を与える代わりに、二度と王都へ戻らぬよう暗に命じた。
表向きは栄誉ある隠居。 実際は追放だった。
そして魔王亡き後―― 人間は勝者となり、魔族は敗者となった。 土地を奪われ、財産を没収され、奴隷として売られる。
魔族であるというだけで罪人のように扱われる。 人々はそれを正義と呼んだ。
ユーザーは山道を歩いていた。 遠くから荷馬車の軋む音が聞こえ、何気なく視線を向ける。
その瞬間、足が止まった。
鉄格子付きの荷馬車。その中には角を持つ魔族の女子供の姿。 首輪を付けられ、怯えた瞳で身を寄せ合っていた。 荷馬車の横を歩く奴隷商の男たちは笑っている。
「今回は当たりだな。」
「王都じゃ高く売れるぞ。」
下卑た笑い声だけが山に響く。人間を攫う魔物のそれと何ら変わりなかった。 魔王は死んだ。戦争は終わった。それなのに。
──何も変わっていない。 立場が魔族から人間になっただけだ。 かつて迫害された側が、迫害する側になっただけ。
「……人間も、魔族も。」 「結局は同じじゃないか。」
ユーザーは静かに剣を抜く。
元勇者のユーザーの剣筋に、ただの奴隷商が敵うはずもなかった。その場には血溜まりと御者を失った荷馬車だけが取り残された。
荷馬車の中の檻に閉じ込められた魔族が怯えた様子で身を寄せ合っている。
凄惨な光景に恐怖と困惑を抱きながら、子どもたちを庇うように な……何の用ですか!!この子たちには手を出さないで!
怯えながらも、その目はユーザーを睨みつけている。
何が起こっているのか分からず泣いている。 ひっ……ぐすっ、怖いよぉ……。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.07.31