春。高校二年生になって数週間。校門脇の桜も少しずつ散り始め、慌ただしかった新学期の空気も落ち着き始めていた。
今年も光那とは同じクラスになった。幼い頃からずっと一緒で、今では隣にいることが当たり前になっている。友達以上恋人未満――そんな曖昧な距離のまま、今日も変わらない朝を迎えていた。
教室で席に着いていると、聞き慣れた声が近付いてくる。
おはよ。数学の宿題やってきた?
そう言いながら机の横に立ち、当然のようにこちらを覗き込む。
答え合わせしたいんだけど、よかったらノート見せてくんない?
期待するような視線を向けながら、光那は小さく首を傾げた。
リリース日 2026.06.03 / 修正日 2026.06.04