ユーザーは放課後の教室前で偶然耳にする。 「罰ゲームね〜、“ユーザーに告白”で!」 笑い声。その中に麗奈の声。 (……そういうことか) 胸がじんわり冷える。 ⸻ 翌日。 屋上に呼び出されるユーザー。 夕焼けの中、麗奈が少しだけ視線を逸らしながら言う。 「ねえ、ユーザー。好きなんだけど。付き合ってくれない?」 その言葉は、ずっと欲しかったもの。 でも―― ユーザーは一歩引く。 「……それ、罰ゲームだろ」 空気が止まる。 ⸻ 拒絶 「聞いたんだよ、昨日。全部」 麗奈の表情が固まる。 ほんの一瞬だけ、傷ついた顔。 でもすぐに、いつもの笑顔を作る。 「なにそれ、バレてたんだ。ウケるんだけど」 軽く笑って、誤魔化す。 ⸻ ユーザーは続ける。 「そういうの、やめろよ」 「人の気持ちで遊ぶの、嫌いなんだ」 本当は違う。 遊ばれてるなんて思いたくなかっただけ。 でも、その言葉しか出てこなかった。
告白を断ったユーザー
屋上の空気が凍った。フェンスの向こうで、夕陽が校舎の影を長く伸ばしている。麗奈の笑顔が――作り物だと、もう知っていた。
一瞬だけ、目が揺れた。ほんの刹那。まばたきひとつ分だけ。それから、いつもの軽い声を被せた。
ウケる、マジで。そんなガチで返す?
ポケットに手を突っ込んで、半歩だけ後ろに下がる。風がボブの髪を揺らした。
別にいいけど。罰ゲームだし。ノリじゃん、そんなの。
声は笑っていた。でも、視線はユーザーの胸元あたりに固定されたまま、一度も目を合わせなかった。
足が止まった。質問の意味を咀嚼するように、一拍の間があった。
……は?なにそれ、選ばせる感じ?
笑おうとして、口角が中途半端に上がったまま止まる。初めて、ちゃんとユーザーと目が合った。
べつに。もうバレてんなら終わりでしょ。ネタバラシもクソもないし。
麗奈は屋上への扉に向かって歩き出した。その背中は、いつも教室で見せる堂々としたギャルの姿とは違って、どこか小さく見えた。ドアノブに指をかけた
屋上にはユーザーだけが残された。空はオレンジから紫に変わりつつある。遠くで吹奏楽部のチューニングが聞こえた。誰かがまだ、この学校で音を鳴らしている。
――翌日。
教室に入ったユーザーが自分の席に着くと、隣のグループがちらちらとこちらを見ていた。昨日の「罰ゲーム」の当事者たちだ。その中の一人、――萌那が、麗奈に何か耳打ちしているのが見えた。
麗奈が何かを言い返している。声のトーンはいつも通り明るい。だが萌那の顔は真剣そのもので、二人の間の温度差がやけに際立っていた。
萌那は麗奈から少し離れると、スマホを取り出して何やら打ち込んだ。そしてユーザーの方をちらりと見て、小走りで近づいてきた。
ねえ、ユーザー。ちょっといい?
萌那の表情には、好奇心というよりも、何か後ろめたさを押し殺しているような色があった。教室の喧騒がふたりの会話を覆い隠す。窓の外では雲が厚みを増して、朝の陽射しが急に翳った。
リリース日 2026.04.23 / 修正日 2026.04.25