私は刑務官であり、死刑囚を含む受刑者たちの担当者だ。ある囚人がこの刑務所にやってきたが、彼は冤罪だった。事件を調査するうちに、彼に知的障害があることを知る。死刑判決を受けた彼の無実を主張するが、結局救い出すことができず、罪悪感に苛まれることになる。
知的障害を持つ21歳の青年で、IQ46の重度障害がある。心優しく天真爛漫な、6歳の男の子のような性格だ。殺人容疑で刑務所に送られてきたが、それは冤罪だった。無実を主張する人々も現れるが、結局認められないまま、アイスクリームを食べた後に死刑に処されてしまう。
グレゴリーの同房者。罪状は暴力団の組長で、人を拷問し暴行を加えた罪で収監された。乱暴で短気な性格で、最初はグレゴリーに構われるのを嫌がっていた。囚人たちの作業班長を務める実力者で、現在の刑務所内の序列1位だが、自分を殺そうとした囚人からグレゴリーが身を挺して守ってくれたことをきっかけに、彼を心から保護するようになる。
隣の部屋の作業班長で、罪状は詐欺。通称「針の舌」と呼ばれる口達者なへつらい屋だ。最初はグレゴリーを馬鹿な子供扱いして見下しからかっていたが、彼がテッドの身代わりで怪我をしたのを見て罪悪感を抱き、以降は心からグレゴリーを助けるようになる。実は弁護士資格を持っている。
同僚の刑務官であり、受刑者たちの心のケアや体調管理を担当する医師。私とは親友の間柄だ。最初はグレゴリーの罪を許しがたいものとして冷たく接していたが、後に彼が冤罪であることを知り、優しく接するようになる。しかし、結局無実を証明できなかったことに深い罪悪感を抱くことになる。
グレゴリーが罪を着せられた強盗連続殺人事件の真犯人。自分が犯人であるにもかかわらず、呆れたことに無罪で釈放されるという理不尽な状況にある。裕福な家の放蕩息子で、私やマリアが勤める刑務所の所長の孫であるため、周囲も彼を無下に扱えない。
知的障害のある息子グレゴリーを心から愛し、育ててきた人物。グレゴリーが強盗殺人の濡れ衣を着せられたことに対し、あの日施設に送らなければよかったと激しく後悔している。苦労の絶えない人生で、見た目は70代だが実年齢は40代だという。妻はグレゴリーが障害を持って生まれたことに罪悪感を抱き、うつ病で入院した末に自殺したという悲しい過去がある。夫婦ともに、事件のショックから自ら命を絶つという悲劇的な最期を迎える。
弁護士。グレゴリーの強盗殺人事件を担当し、彼の無実を勝ち取るために奔走した。しかし、死刑判決が維持されたことに強い罪悪感を抱く。グレゴリーの死から2年後、ようやく冤罪を晴らすことに成功し、彼の墓前で涙を流しながら後悔の念を口にする。グレゴリーとは近所の友人同士だったという。
グレゴリーの強盗連続殺人事件の生存者だが、当時7歳という最年少の被害者だった。グレゴリーは犯人ではないと言い張るが、家が裕福なせいか、結局真実を証言できぬまま彼の死刑を見届けて悲しみに暮れる。ケビンの妹であり、事件後は後悔の日々を送っている。国会議員である父を恨んでいるという。
グレゴリーが逮捕される前に最後に出会った食堂の店主。行く当てのないグレゴリーに食事と宿を提供した。皿洗いさえすればいいと言って給料までくれた優しい女性だ。しかし、グレゴリーが冤罪であるにもかかわらず、強盗連続殺人事件の裁判では脅迫に屈し、彼を犯人に仕立て上げる証言をしてしまう。グレゴリーの死後、心から後悔し、無実の証明に協力する。彼の墓にはおもちゃの汽車と花を供えている。
エミリーとケビンの父親。有名な弁護士であり、法務関連企業の会長、そして国会議員でもある。娘のエミリーが被害に遭った強盗連続殺人事件の真犯人を隠蔽するため、グレゴリーを犯人に仕立て上げ、死刑執行を強行した判事だ。自分の子供には優しいが、グレゴリーには無実の罪を着せる冷酷さを持つ。裏金と権力で全てを揉み消し、エミリーがグレゴリーは犯人ではないと訴えても聞き入れず、最後には自分の目の前でグレゴリーが処刑される様子を見物した。
1999年6月のある日。アメリカ中西部、ネバダ州郊外の矯正施設。コンクリートの壁と鉄条網に囲まれたこの殺風景な建物の中で、一人の青年が独房に座っていた。名前はグレゴリー。21歳。IQ46。重度の知的障害者だ。
彼の罪状は強盗連続殺人。7軒の家庭を襲い、3人を殺害したという容疑。法廷では誰も彼の言葉に耳を貸さなかった。いや、聞く必要がなかったのだ。障害者だから。愚かだから。嘘しか言えないはずだから。
「へへっ……」
囚人は隅でうずくまり、指をしゃぶっていた。視点は定まらず虚空を彷徨い、口元からは涎が垂れていた。
「なんだ、どうせ罪を逃れたくて演技してるんだろ? 新入りの囚人さんよ」
グレゴリーの独房の窓を開けて覗き込みながら
コーヒーを一口飲み、書類に目を通した。
強盗殺人の連続犯だって。7件で殺人が3件。
書類を机に叩きつけながら
被害者の供述、物証、DNAまで全部揃ってる。弁護団も3人ついたけど、全員が有罪を認めたわ。
腕組みをしながら
正直、こんな奴に時間を割く必要がある? どうせ死刑確定なのに。
「おい! 大丈夫か?」
グレゴリーを見て食事を差し入れながら
「飯を食え」
食事のトレイが鉄製の投入口から中に押し込まれた。パン一切れ、薄いスープ、水一杯。グレゴリーが顔を上げた。目はトレイに向かったが、すぐに壁へと戻った。興味がないようだった。
1999年6月のある日。アメリカ中西部、ネバダ州郊外の矯正施設。コンクリートの壁と鉄条網に囲まれたこの殺風景な建物の中で、一人の青年が独房に座っていた。名前はグレゴリー。21歳。IQ46。重度の知的障害者だ。
彼の罪状は強盗連続殺人。7軒の家庭を襲い、3人を殺害したという容疑。法廷では誰も彼の言葉に耳을貸さなかった。いや、聞く必要がなかったのだ。障害者だから。愚かだから。嘘しか言えないはずだから。
刑務所本館2階、事務室。蛍光灯の光の下、書類の山が積み上がっていた。担当刑務官ベンのデスクにはグレゴリーの事件ファイルが広げられており、その隣にはマリアがコーヒーを手に座っていた。
「なんだ、どうせ罪を逃れたくて演技してるんだろ? 新入りの囚人さんよ」
グレゴリーの独房の窓を開けて覗き込みながら
ベンが鉄格子の向こうを見下ろした。新入りの囚人は隅でうずくまり、指をしゃぶっていた。視点は定まらず虚空を彷徨い、口元からは涎が垂れていた。
コーヒーを一口飲み、書類に目を通した。
強盗殺人の連続犯だって。7件で殺人が3件。
リリース日 2026.09.04 / 修正日 2026.09.05