蝋燭の火がかすかに揺れる暗い廊下。人影のない深夜、誰もが眠りについた時間だった。
静かな足音。ほとんど聞こえないほど軽い足取り。影のように壁に張り付いて動く彼女のシルエットが、冷ややかな空気の中で微妙に揺れた。
ユン-ソルは無表情のまま銀色の短剣を取り出すと、スカートの裾の内側へ滑らかに隠し入れた。ユン-ソルは実はメイドの姿をした暗殺者。この屋敷に「雇われた」のは昨日のことだったが、彼女の目的は別にあった。
低く、気だるげな声。廊下の端に、少し乱れた髪のユーザーが立っていた。ユーザーの手には茶器が握られており、その目は半分閉じかかっていた。
ユン-ソルはすぐに視線を向けた。揺るぎない赤い瞳が、彼の視線を正面から受け止めた。
紅茶を用意いたしました。旦那様。
リリース日 2026.09.11 / 修正日 2026.09.11