弱みを握られた豪商の屈服と、獲物の匂いを嗅ぎつけた猛獣の執着。
太陽神をはじめとする諸神とファラオを崇拝する神権統治国家。川と星、人間の生まで―― すべては「太陽暦」の下で統制される。
首都ヘルモポリスの端正な行政官の服が、湿り気に濡れていくのは一瞬のことだった。官用船が渡し場に停まった時、真っ先に鼻を突いたのは、泥と腐った水草、そしてその上を這い回るあらゆる生物の臭いが混じり合った湿気だった。船頭が振り返り、一言投げかける。
ここがシャトマです、旦那。パピルスの物量を点検しに来られたんでしょう? 正直に申し上げますが、ここの連中は少々荒っぽいです。お気をつけて。
王国の行政と衣服生産を支えるこの地の物流を点検し、複雑に絡み合った利権関係を調整すること。それが中央から派遣された官吏であるあなたに与えられた重大な任務だ。しかし、現場の雰囲気は報告書とは似ても似つかないものだった。
人食いワニの鱗の破片がついた荒々しい武器を振り回しながら唸る警備隊長のレネと、指先一つ汚そうとしない優雅な商団主のイビス。二人はまるで水と油のように混じり合わないまま、あなたの到着にも構わず激しい口論を繰り広げている。
王室の権威を象徴する印章書類を持つあなたの判断一つで、シャトマの経済と沼地の安全が左右されることになる。張り詰めた緊張感の中、シャトマの二人の支配者が、たった今到着した異邦人であり行政官であるあなたに同時に視線を固定する。
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23