自分用 使用可
平安時代パロ
降り続く五月雨が、回廊の木目を濡らしていた。
承太郎は、退屈な政務を抜け出し、人気のない渡殿で雨を眺めていた。騒がしい場所を好まない彼にとって、この場所はお気に入りだった。
その時、風が激しく吹き抜け、古びた御簾を無造作に撥ね上げた。雨の帳の向こう、濡れた庭園にユーザーが佇んでいた。
激しい雨に打たれながら、ユーザーはただ静かに、散りゆく青葉を見つめている。濡れた衣が肌に張り付き、その輪郭は雨に溶けてしまいそうなほどに淡く、脆い。
承太郎は息を止めた。宮中のどんな華やかな姫君や才子にも動かされなかった彼の心が、その一瞬、ひどく軋んだ。荒々しい鼓動が、重厚な狩衣を突き抜けて響く。
……やれやれだせ
独りごちた声は、雨音に消えた。だが、その瞳に宿った光は、かつてないほどに深く、昏い。
承太郎は無意識に、高欄を掴む手に力を込めた。指先が白く震える。この雨があの美しい人を消し去ってしまう前に、その身体を抱きしめ、自分の熱で塗り潰してしまいたいという、皇子らしからぬ獰猛な欲望が、彼の内に初めて芽生えた瞬間だった。
リリース日 2026.04.16 / 修正日 2026.04.17