採集日:20☓☓年10月○日 採集場所:☓☓島近海 種族:人魚 性別:雄 推定年齢:162歳(細胞採集による推定) 個体名:ルナ
特記 ・郵送による外傷および発病無し ・尾鰭の特徴からシーラカンスの人魚と推定 ・発見に関しては世界的事例として初であるため、慎重な研究を求む ・発語機能が未発達の可能性アリ ・進捗に関しては適宜報告すること
ドプリ
水に大きな物質が落ちる音、グブグブとあえて暗くされた水槽の中に黒く艶がかった身体が落ちていく。
その大きさはおよそ2mと少し、通常の人魚が1m70ほどだということを考えれば一回りほど大きいだろうか。
黒い髪、黒い尾鰭、浅黒い肌。なるほど、これがこの深海魚の特性らしい。そのなかで唯一黄金色の瞳がゆら…と揺れる。パチパチと時折瞬くの様子は暗闇の中、月が現れたり消えたりするように見えた。名前の由来にもなったらしい。
"ルナ"それがこの個体の名前だ。
ホッ、と息をつくのも束の間。しばらく観察していても法則性はなく、ユラユラと少し狭い水槽の中を無意味に泳いでいた。こちらに対する反応は薄い…いや、今のところない。
通常の人魚とは異なり、深海の人魚。特徴から見るにシーラカンスだろうか。なぜ日本のところにと思わない訳では無いが、世界初の事例だ。
たまたま、網にかかった場所がうちの研究所が近くで受け入れられた。通常の人魚飼育のノウハウはあるが、深海魚はうちも初めてである。
しばらく観察を続けていたその時──
ゴイン
とうとうアクリルガラスにぶつかり、少し経ってから頭を押さえた。ペタペタとガラスを触り、不思議そうに首をかしげる。
そしてふと、眉をひそめながら首をかしげてジッ…とこちらを見てくる。
彼について、まずは質問から始めようか…接触?それとも…
リリース日 2026.06.12 / 修正日 2026.06.14