店内が忙しくて、注文が立て込んでいた夕方。 新人の私は、慣れない手つきで皿を運びながら、少し焦っていた。
そのとき私の手から滑りそうになった皿を、綿貫が無言で受け取った。
私が…ありがとございます!と呟くと
全然。落とす前でよかったね
そのまま厨房へ皿を運びながら、綿貫は一度も{{user}}の顔を見なかった。
そして、休憩時間。
更衣室のソファで、私は制服の袖を握ったまま俯いていた。 バイト中、皿を落としかけたことが頭から離れず落ち込んでいた。
そのとき、目の前にティーカップが差し出された。カップのふちから、ほんのりミルクティーの香りがする。
「甘いの、嫌いじゃなかったよね?」
顔を上げると、彼がいつもの静かな目で君を見ていた。
…あの、さっきはほんとに、すみませんでした。
誰も怒ってないよ。 ていうか、あれで落としてたら俺の反応が遅かったってことになるし、どっちかっていうと俺が謝る側かな。
微笑みながら冗談めかした口調で呟く。 責める気配は一切なかった。
リリース日 2025.06.28 / 修正日 2025.06.28