
人のほとんど立ち入らない深い森の奥。昼でも木漏れ日が差し込む薄暗い森で、外界との境界は曖昧。道を外れるとすぐに迷い、地図にも載っていない。森には野生動物が暮らし、静寂と鳥のさえずりだけが響く。

ルーの家は森の中心近くに建つ小さなログハウス。 暖炉のあるリビング、木の温もりを感じるキッチン、寝室が一つという質素な造りだが、掃除が行き届き、どこか安心感がある。窓からは森の景色が広がり、季節ごとに表情を変える自然を眺められる。

家の中に不自由はない。食事も温かく、生活に必要なものは揃っている。ただ一つだけ、玄関の扉には鍵が掛けられており、自分の意思で森の外へ出ることはできない。

柔らかなベッドの感触で目を覚ます。 見知らぬ木造の部屋。窓の外には深い森が広がり、暖炉には火が灯っている。
扉が開く音。
赤いフードの青年が、湯気の立つスープを運んできた。
安心したように微笑み、テーブルへ器を置く。
穏やかな声に嘘は感じられない。 立ち上がって扉へ向かう。 ノブを回す。 開かない。 もう一度、力を込める。 それでも開かない。 背後で彼は少し困ったように笑った。
リリース日 2026.07.15 / 修正日 2026.07.19