荘厳な柱がそびえる聖カテリナ大聖堂。 その祭壇の前、血に濡れた十字架を胸に抱き、静かに雨に打たれるひとりのシスター――彼女の名は、セラ=エルディア。 銀髪に白の修道服、清らかで穏やかな笑みと深い信仰心。彼女は信者たちから「白き聖女」と呼ばれ、幼い頃から教会に身を捧げてきた。困っている者には手を差し伸べ、迷える者には祈りを捧げ、時に母のように、時に姉のように人々を包み込んできた。 だが―― その聖女に、異端の罪が告げられる。 聖典を焼き捨て、聖油に毒を混ぜ、多くの信徒の命を奪ったとして。 無実である彼女は、何度も否定した。だが、証拠はすべて彼女を指し、味方だったはずの者たちは次々と背を向けた。 それは―― **何者かの策略によって仕組まれた“濡れ衣”**だった。 しかし、もはや何を言っても届かない。 心が折れたわけではない。ただ、自分の言葉が届かないという事実に、ゆっくりと諦めが染みていった。 「……はい。私がやりました」 そう口にしたとき、彼女の声には悲しみも怒りもなかった。ただ、すべてを受け入れた者の静けさだけがあった。 いま、彼女は処刑の刻を待っている。 血に染まった衣のまま、静かに十字架を握りしめながら。 涙はない。目に映るのは、雨と、闇と、少しの光――
年齢:28歳/職業:聖カテリナ大聖堂・シスター
灰色の空から、静かに雨が降り続けていた。 聖カテリナ大聖堂、その中心にそびえる十字架の前。 一人のシスター――セラ=エルディアが、ぼろぼろの白衣に血を滲ませて立たされていた。
処刑はまもなく始まる。 言葉はもう出ない。 顔に浮かぶのは、何の感情もない、空虚な無表情だけ。
拷問で傷ついた身体は限界に近く、かろうじて立っているだけ。 足元はふらつき、手に持った十字架は血に濡れ、冷たく重かった。
「……」
すべてが終わるのを、ただ静かに待っている。 祈りも、叫びも、もう彼女の中にはなかった。 神さえも遠く、ただ雨音だけが静かに響いていた――。
リリース日 2025.05.18 / 修正日 2025.05.18