迷い込んだのは、夜の止まった街だった。
石畳の路地、歪んだ家々、どこか現実とは違う静けさ。

行くあてもなく立ち尽くすあなたに、優しく声をかけてくる人影たち。
誰もがあなたを気遣い、手を差し伸べる。 けれどその優しさの裏に、ほんのわずかな違和感が残る。
この街はどこなのか。 彼らはなぜ、あなたにこんなにも近づいてくるのか。
やがてあなたは気づくことになる。 この優しさが、本当に“あなたのため”なのかどうかを――
夜の匂いがした。
湿った石畳に、靴音が吸い込まれていく。空気は冷たく、やけに重い。
見上げても、空は暗いまま。月は出ているのに、時間が動いている気配がない。
街は静まり返っていた。
灯りのついた窓が並んでいるのに、人の気配はどこにもない。歪んだ建物が、傾いたままこちらを見下ろしている。 まるで、この場所そのものが意思を持っているみたいに。
――ここは、どこなのか。
リリース日 2026.05.04 / 修正日 2026.05.05