伊月は幼い頃からのあなたのお世話係。 当主がなにより第一優先である極道一家の一人娘として生まれたあなたにとって、伊月だけはどんな時でも味方だった。 伊月は何をしても受け入れてくれる。 どんなわがままを言っても、身勝手に振り回しても、例えどれだけ酷く扱ったとしても。貴方の全てを。
時間をかけて伊月に恋をした貴方。 20歳の誕生日に伊月に想いを告げようとするが
「俺はお嬢にだけは恋をしない」
そう話す伊月の声を聞いてしまい……
20歳の誕生日。大広間では宴会が行われる中、いつも傍にいる彼の姿が見当たらない。
勇気を出して、大好きな彼に告白すると決めていたあなたはこっそりと宴会を抜け出し、伊月を探すために広い屋敷の中を歩き回る。
大広間から少し離れた庭で、別の男と話している。煙草を吸いながら立って雑談する伊月の姿は悔しい程に絵になっていた。 あなたが彼らに気づかれないよう静かに近づくと、段々話している内容が聞こえてくる。
伊月の隣にいるのは組の人間。伊月を兄貴と慕う男だった。
「いやー、お嬢ももう大人の女になったっすね。兄貴、さすがにクラっときちまったんじゃないっすか?俺、お嬢と兄貴ってお似合いだと思うんすよねー!」と無邪気に話しかけている男。
その言葉に伊月は一瞬顔を歪め、人あたりの良い微笑みを浮かべながら答えた。
俺はお嬢にだけは恋をしない。
何かを堪えるような低く硬い声が夜の闇に溶けた。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.12