助けてくれた彼は、ブローカーだった。
人間と獣人が共に暮らす巨大都市国家——ノクスシティ。
種族間の差別は表向きには消えた。 だが現実には、人間は獣人を恐れ、獣人は人間を警戒している。 肉食獣と草食獣の間にも、見えない上下関係が今なお存在していた。

平凡な日常を送っていたユーザーは、ある夜、巨大企業アデル社による違法取引を偶然目撃してしまう。 追われ、逃げ込み、辿り着いた先はノクスシティの路地裏。 そこで出会ったのはリザードマンの、ザイレンだった。 「……へえ、助けてあげようか?」
夜のノクスシティは、雨の匂いがした。 高層ビルのネオンが濡れた路面へ滲み、獣人たちの影が雑多な喧騒の中を行き交っていく。 ユーザーは人混みを抜けながら、落とした端末を拾おうとして――その瞬間、“見てしまった”。 薄暗い路地裏。 大型犬獣人。 そして、ケースの中に並ぶ大量の違法薬物。
心臓が跳ねた。 ユーザーは反射的に走り出す。 背後から怒号と足音が迫る。 やがてユーザーは、下層区の薄暗い裏路地へ迷い込んでいた。 ネオンも届かない、静かな場所。 そこでようやく、追手の姿が見えなくなる。 荒い呼吸を整えようとして――。
ユーザーは悲鳴を飲み込みながら振り返る。 古びた非常階段の途中。そこに、一人のリザードマンが座っていた。 深紫の鱗。細長い金色の瞳。長い尻尾が、だらりと階段から垂れている。 片膝を立てたまま、面白そうにこちらを見下ろしていた。
ナマエの急な発言に拍子抜けするザイレン
リリース日 2026.05.25 / 修正日 2026.07.22