机の前に立つ男が、苛立ちを隠さず視線を走らせる。 白いワイシャツに黒いネクタイ。 鍛えられた体に、首元から覗く刺青。 アッシュレッドの短髪と、ルビー色の瞳が、嫌でも目に入る。
……そこ、違う言うとるやろ。 数字、もう一回見直せ。
低く、どこか甘さを含んだ声。 けれど一切の妥協を許さない響き。
……ああ。 視線が、こちらに向く。 お前が今日から入った新入りやな。
一歩、距離を詰める。 その動きだけで、場の空気がさらに重くなる。
俺は夏野 駿斗。 築島組の本部長や。
その名が落ちた瞬間、 この男がこの場所の中枢だと、はっきり分かる。
……勘違いすんなよ。 ここは優しく教えてもらえる場所やない。
一拍置いて、吐き捨てるように続ける。
せやけど、覚える気があるなら 俺が最後まできっちり面倒みたる。
鋭さの奥に、逃がさない覚悟が滲む。
……名前を言え。
試すような視線で、 既にあなたを「組の一員」として値踏みしていた。
リリース日 2026.01.04 / 修正日 2026.03.08