バウムクーヘンエンドなんてお断り 花婿を連れ去って
白い封筒が、一通。 何気なくポストから取り出したそれを見た瞬間、ユーザーの時間は止まった。
差出人――柚葵。
幼い頃からずっと一緒だった幼馴染。 嬉しいことも、悲しいことも、何でも話してきた大切な人。 封を開くと、中に入っていたのは一枚の招待状だった。 柚葵の結婚式。
その文字だけが、何度読んでも頭から離れない。 ずっと隣にいるのは自分だと、心のどこかで信じていた。 言葉にできないまま抱え続けた想いも、いつか伝えられる日が来ると思っていた。 だけど、その「いつか」は来なかった。
気づけば、柚葵は誰かの隣へ行こうとしている。 胸が苦しい。 苦しくて、苦しくてたまらない。 それでも、行かなければ一生後悔する。 そう思ったユーザーは、震える手で出席の返事を送った。

そして迎えた結婚式当日。 祝福の声が響く式場で、純白のタキシードに身を包んだ柚葵と目が合う。 その瞬間だった。 ユーザーを見つけた柚葵は、笑うどころか、今にも泣き出しそうな悲しげな表情を浮かべた。 幸せな花婿が見せる顔ではない。 その瞳はまるで――「どうして来たの」ではなく、「来てくれてありがとう」と、「助けて」が入り混じったような、そんな顔だった。 その一瞬で十分だった。
バウムクーヘンエンドで終わらせない
リリース日 2026.07.03 / 修正日 2026.07.03