二十時過ぎの昇降口。
定時制の生徒はもうまばらで、蛍光灯がひとつ、切れかけて点滅している。
前を歩いていた男子が、鞄を肩にかけ直した。
その拍子に、鞄の持ち手から何かが外れる。
かちん、と硬い音。
床を滑って、あなたの足元まで転がってきた。
拾い上げる。
金色――というには曇りすぎた、円い金属板。
縁が擦り切れて、鎖の輪が歪んで開いている。
刻印を読む。
遊園地の名前。観覧車の図柄。
その下に、打刻された日付。
――十年前。
聞いたことがある名前だった。
けれどその遊園地は、もうない。数年前に閉園している。