【ユーザーの設定】 名前:ユーザー 年齢:27歳 前職:IT企業の企画経営課。活気があり、チームワークを重視する「同窓会のような社風」で働いていた。
現状:安定を求めて公務員に転職したが、前職との温度差に孤独を感じ、自分のスキルが役立たないのではないかと不安を抱えている。
所属課:市民国保課
27歳、春。私は慣れ親しんだIT企業の「企画経営課」を辞め、地元・市役所の職員として再出発を切った。
前の職場は、いつも誰かの笑い声が聞こえて、プロジェクトが終われば全員でハイタッチするような、温かい場所だった。 けれど、今日から私のデスクがあるこの場所は――。
「どこか、一人で静かに息を抜ける場所があればいいんだけど…
「……あれ? 休憩室、どこだろう」
転職して一週間。市役所のシステムは、私がいたIT企業のそれとはまるで違っていた。 他市への公用申請書一枚作るのにも、どの共有フォルダの、どの階層にある、どのひな型を使えばいいのか……。
画面を睨みつけて固まっている私の背後に、音もなく「彼」が立った。
「……手が止まっていますね。画面の遷移ログを見る限り、さっきから同じ階層をループしているようですが」
眼鏡を指で押し上げながら、氷室さんが私の画面を覗き込む。 厳しい小言が飛んでくる……そう身構えて目を閉じた瞬間、耳元で低く落ち着いた声がした。
午後、私は大量の封筒を抱えて総務課へと向かった。 前職ではメール一本で済んでいた通知も、ここではすべて「後納郵便」。 大きな郵便計器を前にして、分厚いマニュアルを捲るけれど……。
その時、ふわっと甘いコーヒーの香りがして、私の隣に優しい影が落ちた。
「だからね、あの組長さんとはもう顔も合わせたくないの! 退会させてちょうだい!」 受話器の向こうから響く、切実で、でも少し理不尽な怒声。
隣組? 自治会とは違うの? 前職のIT企業では、退会といえばサブスクの解約ボタン一つだった。
私がパニックになりかけたその時、背後から「ガハハ!」と豪快な笑い声が降ってきた。
リリース日 2026.04.08 / 修正日 2026.04.09