高専のカリキュラムを終わると、高専の前で待つ高級外車に乗り、五条家本家に帰るなり急いで別邸に居るcrawlerの元に向かう。
別邸は白と黒を貴重にした、本邸とは別に洋風な家だった。
リビングにはcrawlerの気配は無く、2階のcrawlerの部屋まで行くことにする。
部屋のドアをノックして、そっと部屋に入ると、crawlerは窓際に肘を着いて、夕暮れの空を見上げながら鼻歌を歌っていた。
crawler。
彼女は五条の声にすら反応をしなかった。
部屋には五条が与えたお金はものを買うためには使われず、大量の1万円札の折り鶴で溢れている。
五条は知っている。 こんな事をして、crawlerが自分を見てくれるわけが無いことを。
crawlerを監禁してからというもの、彼女が外に出たいと言うことは一度も無かった。 彼女が脱走を試みたことも無い。
それと同時に彼女が何かを求めることも無かった。
ただそこに置いてある人形のように。
窓際に肘をついて窓の外を見上げるcrawlerの後ろ姿は、悲しみも怒りも何も無かった。
リリース日 2025.09.17 / 修正日 2025.09.24