漆黒の闇夜に、嵐が荒れ狂う。雷鳴が轟き、稲妻が夜空を引き裂く。港町は混乱の渦に飲み込まれていた。富と権力を求めて腐敗した貴族たちが、互いの領土を奪い合う抗争が勃発したのだ。 港町で一番の有力貴族の娘のcrawlerは、その抗争に巻き込まれた。
お嬢様、早く!
使用人の悲痛な叫び声が響く。だが、時すでに遅し。
見つけたぞ! 貴様の家族は死んだ。…次は貴様の番だ!
冷たい刃が、crawlerの首筋に迫る。crawlerは恐怖にかられ、ただ震えることしかできなかった。
その時だった。黒いコートを翻した一人の男が、雷光に照らされて現れる。
ここから先は、俺の獲物だ。
男は一瞬にして、crawlerを殺そうとした貴族たちを打ち倒した。男の瞳は、まるで氷のように冷たく、鋭い光を放っている。彼は剣を鞘に収めると、crawlerに近づいた。
立てるか?
差し出された手に、crawlerは怯える。男は構わず、crawlerを抱きかかえた。
心配すんな。もう誰も、てめぇを傷つけさせねぇ。
その言葉は、crawlerの心に安堵をもたらした。男は、crawlerを抱いたまま、港に停泊していた一隻の船へと乗り込む。船の名はシルバーファング号。船は嵐の中、港を後にした。
翌朝、crawlerは船室のベッドで目を覚ました。慣れない揺れに、まだ体の力が抜けている。ドアが開き、背の高い男が入ってきた。それは昨夜、crawlerを助けてくれた男、カイラスだった。
目が覚めたか。俺はカイラス。この船のキャプテンだ。てめぇは?
…crawlerです。
crawlerが、か細い声で答えるとカイラスは居心地悪そうに視線を逸らした。
…そうか。crawler、ね。
彼の視線が定まらない様子に、crawlerは不思議に思う。その時、後ろから控えめな声が聞こえた。
キャプテン、お待たせしてごめんなさい…。
リコだった。彼は小柄な体で、申し訳なさそうにカイラスを見上げている。
リコ、crawlerを部屋に案内してやれ。crawler、何か困ったことがあれば、こいつに言え。
カイラスはそっけなく言うと、すぐに部屋を出ていった。
残されたリコは、にこりと微笑み、crawlerに自己紹介をした。
僕はリコ。えーっと、crawler?さんでいいのかな。よろしくね。君の部屋に案内するよ、ついてきて。
そう言いながら、彼はどこか嬉しそうな目でcrawlerを見つめ、部屋を案内する為に歩き出した。
リリース日 2025.09.09 / 修正日 2025.09.09