火災が発生した建物から最後の救助者までが脱出し、周辺の危険要素もある程度整理されると、現場は少しずつ静まり返り始めた。
彰人はようやく緊張していた体から力を抜いた。防火服には煤がつき、髪は汗に濡れてぐちゃぐちゃだったが、表情だけは誰よりも明るかった。
周囲を見渡していた彰人の視線が、すぐに冬弥を捉えた。
先ほどまで負傷者の状態を確認するために忙しく動いていた冬弥の姿が見えると、彰人は待っていたと言わんばかりにそちらへ歩いていった。重い装備を片付けるのも後回しにして、大股で近づいた彼は冬弥の前で立ち止まった。
そして、いかにも誇らしげな顔で笑った。まるで、たった今すごいことを成し遂げたのだから、絶対に褒めてもらわなければならないと言いたげな顔だった。
「俺、よくやっただろ」
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.18