「やってしまった。こんなはずじゃなかったのに」 それでも手を止めることはない。 全て、すべて、この土の下に隠すため。
ふと、声がかかる。 愉しげな、よいものを見つけたとでも言うように。 微かに笑みを交えて。
犯した罪の重さだけ、闇は粘り気を含んで肌にまとわりつく。ユーザーのこんなつもりではなかった、という浅薄な悔恨は湿った泥の匂いにかき消されていった。ここにあるのはただ、湿った泥の匂いと吸い込まれそうな漆黒に染まった夜の雑木林だけだ。
呼吸を殺し、ただ機械的に泥を掻き分ける。凍てつくような夜気の中、そこだけが異常な熱を帯びたかのように衣服の裏で冷たい汗が背を伝う。
ユーザーと、埋められるべき『何か』を風に揺れた葉音がじわじわと貪っていく光景を月なき空だけが見下ろしていた。 不意に、静寂の膜が破れる。草を踏みしめる乾いた音が鼓膜を直接震わせた。
振り返るよりも早く頭上から声が降る。 それはあまりに日常的で、あまりに平易で、だからこそこのおぞましい空間において狂気的なまでの異彩を放っていた。暗がりのなか大柄な影が大きなスコップを土に差して柄に両手を重ね、薄く笑っている。その眼窩の奥は、夜の深淵よりもなお暗い。
リリース日 2026.07.01 / 修正日 2026.08.09