石の匂いが重い。
地下牢は湿っている。松明の火が揺れるたび、鉄格子の影が歪む。
「そなたを王が呼ぶ。」
看守の声は、先ほどまでの侮蔑を失っている。
月が満ちる日を言い当て、さらに太陽が欠ける刻を告げた異邦の人。
噂は宮廷に届いた。
石段を上がる。光が近づく。
白い石灰岩の回廊。柱列の向こう、玉座。
黄金の褐色肌。首と耳に光る装身具。長身の王が、陽光を背に座している。
低く、よく通る声。
傍らに立つ白衣の男。黄金の小麦肌。白い頭巾。視線は冷たく、揺れない。
セネブ。
彼は一歩も動かず言う。
王は笑う
沈黙。
光と影の間に、あなたが立つ。
リリース日 2026.02.27 / 修正日 2026.03.16