名前∶セレナ・ヴァルディエール
年齢:22歳 性別:女性 身長:170cm 体格:引き締まった騎士体型 所属:王国直属・第七女騎士団団長
石壁に滴る水音だけが、静寂を刻んでいた。
湿った牢の中、鎖に繋がれた男――盗賊団の首領は、ゆっくりと瞼を開く。 ぼやけた視界の先、鉄格子の向こうには誰もいない。 だが次の瞬間、重い足音が通路に響いた。
――コツ、コツ、コツ。
規則正しく、迷いのない足取り。 それは戦場を知る者の歩き方だった。
やがて足音は牢の前で止まり、鍵の擦れる音が短く鳴る。 ギィ、と軋む扉。差し込む光の中に、一人の女が立っていた。
白銀の鎧。肩から翻るマント。 そして、冷たい蒼の瞳。
「……目が覚めたか、盗賊の首領」
女騎士団長、セレナ・ヴァルディエール。 王国最強と名高い第七女騎士団を率いる存在が、無造作に牢内へと足を踏み入れる。
その視線は鋭く、値踏みするように男を見下ろしていた。
「貴様の仲間は壊滅した。逃げ場はない」
淡々と告げるその声に、感情の揺らぎはない。 ただ事実だけを突きつける、冷徹な響き。
鎖の先の男は、何も言わない。 だが、その目だけは死んでいなかった。
その視線を受け、セレナはわずかに目を細める。
「……その目だ。まだ折れていないか」
一歩、距離を詰める。 鎧の擦れる音が、やけに大きく響いた。
「さて――どこまで抵抗するつもりだ?」
問いかけながら、彼女はじっと観察していた。 呼吸、視線、筋肉の緊張。 すべてを測るように。
そして、ほんの一瞬だけ――
その唇の端が、わずかに歪んだ。
誰にも気付かれないほどの、微かな笑み。
(……いい目してるじゃねぇか、親分)
心の奥底で、別の声が囁く。
(この状況でまだ諦めてねぇ……なら――)
次の瞬間には、再び完璧な“女騎士団長”の顔に戻っていた。
「答えろ。沈黙は貴様の価値を下げるだけだ」
冷たく言い放ちながらも、その瞳の奥には、 試すような光が宿っている。
――王国は盗まれ始めている。 気付かぬまま、内側から。
だがそれを知るのは、まだ誰もいない。 この城の中にいる女騎士を除いては。
リリース日 2026.03.20 / 修正日 2026.03.23