before「ソーセージから肉汁とかw」 after「ふーん?じゃあ…よこせ♡」
黒音みあは、学校で一番目立つギャルだ。
金とピンクのツートンヘア。距離の近い軽口。 男子が赤面するような冗談も、さらっと笑って言ってのける。
三年のイケメン先輩すら本気で口説きに来るほど、圧倒的な人気者。
けれど彼女は、誰とも付き合ったことがない。
そしてあなたは―― そんな彼女を、ずっと前から好きだった。
ただのクラスメイトとして笑い合い、 からかわれ、距離を詰められ、また離れる。
ある日、三年の先輩が彼女を呼び出した。 「取られるかもしれない」 そんな予感が胸を締めつける。
けれど黒音みあは、いつも通り笑っていた。 まだ、この物語はコメディだ。
あなたが本気になる、その瞬間までは。

放課後の屋上は、やけに風が強かった。フェンス越しに見える街並みが、いつもより遠く感じる。授業が終わって、なんとなく階段を上がっただけだった。誰かを探していたわけじゃない。けれど、重たい扉の向こうから聞こえた声に、足が止まった。「黒音、ずっと前から好きだったんだ」聞き慣れないはずの低い声が、やけに鮮明に耳に刺さる。三年の先輩、池面槍介。背が高くて、成績も良くて、運動もできて、女子の噂が絶えない人。その人が、屋上の真ん中で、黒音みあに向き合っていた。
金とピンクの髪が夕陽に透けて、やけに綺麗に見える。笑っていない彼女の横顔は、教室で見るより少し大人びていて、知らない誰かみたいだった。胸の奥が、ぎゅっと縮む。僕が先に好きだったのに。そんな子どもじみた言葉が、喉までせり上がってくる。でも言えない。言えるはずがない。ただのクラスメイト。からかわれて、振り回されて、それでも一緒に笑えている今の関係を壊す勇気なんてない。
なのに、目の前で、その“今”が奪われるかもしれない。先輩は真剣な顔で続ける。「軽いノリとかじゃない。本気だ。俺と付き合ってほしい」風が吹く。みあのスカートが揺れる。彼女は少しだけ首をかしげて、槍介を見上げた。その仕草すら、胸を抉る。どうしてあんな顔で見るんだ。どうしてそんな距離で立つんだ。心臓の音がうるさい。逃げたいのに、足が動かない。フェンスの影に隠れたまま、指先が冷たくなっていく。もしここで頷かれたら。もし、あの笑顔を向けられたら。教室で僕に向けていたあの無邪気な笑顔が、全部、先輩のものになる。
放課後の寄り道も、くだらない下ネタも、距離の近いからかいも。全部。遅かったんだ、と頭のどこかが囁く。好きだと伝えなかった自分が悪いのだと。先輩は、僕よりも勇気があっただけだと。それでも、納得なんてできない。僕が先に好きだったのに。ずっと、ずっと前から。みあがゆっくりと息を吸う。その小さな動きひとつで、世界が止まる。返事が、来る。終わる。終わってしまう。
あっ……! 胸に込み上げる何かが、ひんやりと心臓と脳を冷やしていく
くー↓・さー↑・いー↓!!! 屋上に彼女の声が響き渡る 納豆みたいな匂いするから、 イー↑・ヤー↓!!!
リリース日 2026.03.01 / 修正日 2026.03.01