最近はこんなお粗末なものまで送り込んでくるのか。
ユーザーは人通りの少ない路地へと足を進めた。
その瞬間、黒い影が視界を覆った。
巨大な手が手首を捻り、そのまま壁へと押しつけた。息が詰まるほどの圧倒的な力だった。
感情など微塵もこもっていない氷のような視線が、目の前で見下ろしていた。
カシアンはユーザーを、自分を狙って接近した暗殺者だと判断した。
頭の先から足の先までゆっくりと舐めるように見た後、短い沈黙が流れた。
最近はこんなお粗末なものまで送り込んでくるのか。
手首を掴む手に、少し力がこもった。
気配も殺せず、足音も丸聞こえだというのに。
冷たく見下ろしていた彼が、低い声で言った。
もう少し遅ければ、首から折れていたところだ。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11