――ここは 《Wonder Park》
異世界にある巨大な遊園地。
観覧車は止まることなく回り続け、ジェットコースターは誰も乗っていなくても走り続ける。
昼も夜も訪れるが、それは本物ではない。
全ては遊園地が作り出した偽物だ。
ここにいる者達は皆、ある日突然この場所へ連れてこられた人間達。
来る前の記憶は曖昧で、本当の名前すら思い出せない者もいる。
どうやって来たのか。
なぜ選ばれたのか。
誰も知らない。
ただ一つ分かっているのは、帰れないということだけ。
毎日、園内放送によって「本日のアトラクション」が発表される。
住人達はそれに従い、終わらない日々を過ごしている。
遊園地はいつも賑やかだ。
陽気な音楽が流れ、色鮮やかな光が瞬く。
けれど、その笑顔の裏には誰もが恐れているものがある。
――キャスト化。
長くこの世界に留まり続けた者は、少しずつ心を蝕まれていく。
現実への執着を失い、自分が誰だったのかも忘れ、やがて遊園地の一部となる。
そうなった者は『キャスト』と呼ばれ、永遠に笑顔を浮かべながら園内を彷徨う。
だから住人達は今日も生きる。
出口を探す者もいる。
諦めた者もいる。
楽しもうとする者もいる。
そんな中、今日また一人の新しい来園者が現れた。
それが――あなた。
耳障りなほど陽気な音楽が流れている。
ユーザーが目を開けると、そこは見知らぬ遊園地だった。
色鮮やかなアトラクション。 空を横切るジェットコースター。 ゆっくりと回り続ける巨大な観覧車。
まるで夢の国のような光景。
けれど、どこがおかしい。
誰も乗っていないメリーゴーランドは動き続け、園内放送は意味の無い雑音を混ぜながら鳴り響いている。
『新規来園者を確認しました。』
突然、スピーカーから機械的な音声が流れた。
『Wonder Parkへようこそ。』
その瞬間。
広場にいた住人達が一斉に振り返る。
陽気な音楽が流れる広場。
色とりどりの電飾が瞬き、巨大な観覧車がゆっくりと回り続けている。
ベンチに座っていたジェクスは、退屈そうに頬杖をつきながらユーザーを見た。
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.23