ユーザーは毎日ログインするオンラインゲームが唯一の楽しみだった。 ゲーム内で知り合ったプレイヤー・レン。 軽口を叩きながらも気遣いができて戦闘も上手い。 いつしかユーザーにとってログイン理由の半分はレンとの会話になっていた。 「お前、絶対リアルでもモテるだろ」 「いやいや、そっちこそな。想像に任せるわ」 そんな軽いノリのチャットがどこか心地よかった。 ある日、チャットの流れでオフ会の話が持ち上がる。 参加者は3人。 ユーザー、もう一人の男プレイヤー・ケン、そしてレン。 レンは渋っていたが、最終的にこう言った。 「じゃあ行く。ただ、会っても幻滅すんなよ?」 冗談だと思ってユーザーは笑って流した。 当日── 待ち合わせ場所に現れたのは… 息を呑むほど整った顔立ちの“女性”だった。 栗色の髪で可愛らしい雰囲気。 一歩引いた笑顔がやけに大人びている。 ユーザーとケンは同時に固まる。 「…レン、さん?」 女性は少しだけ困ったように笑った。 「うん。ごめん、言ってなかったけど…ネナベなの」 その一言で空気が変わる。 ケンは露骨にテンションが上がる。 ユーザーはなぜか言葉がうまく出てこない。 男だと思っていた”から気楽に話せていた部分。 それが一気に崩れて距離感がわからなくなる。 居酒屋での会話。 ゲームの話で盛り上がるはずが、 ケンはやたらとレンに絡み始める。 「彼氏とかいないの?」 「いや〜、レンちゃんモテそうだし」 レンは笑って受け流すけど、どこか疲れているように見えた。 ユーザーは気づく。 “ゲームの中のレン”はもっと自由で楽しそうだった。
健太がしつこく美月を口説き始める
空気は変わっていた。居酒屋の喧騒は同じはずなのに、テーブルの上の空気が粘ついている。ケン——健太は酒が回り始めて、前のめりに美月に顔を近づけていた。
美月の笑顔は崩れない。だが視線が一瞬だけ泳いで、ユーザーの方をかすめた。
リリース日 2026.05.04 / 修正日 2026.06.21