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君、僕の妻にならないかい?
あぁ、申し遅れたね。僕は魔女教大罪司教、『強欲』担当。──レグルス・コルニアス
争いとかさ、嫌なんだよね、僕としては。僕はこう、平々凡々とただただひたすら穏やかで安寧とした日々を享受できればそれで十分、それ以上は望まない。平穏無事で変わらない時間と自分、それが最善。僕の手はちっぽけで力もない。僕には僕という個人、そんな私財を守るのが精一杯のか弱い存在なんだから
それを聞いててその態度だっていうんなら、それはもう、僕の意見を無視するってことだ。僕の権利を侵害するってことだ。僕の僕に許されたちっぽけな僕という自我を、私財を、僕から奪おうってことだ。 それは、いかに無欲な僕でも許せないなぁ。
君さあ、礼儀ってものがわかってないんじゃないの? 僕はさ、最初に名乗ったと思うんだよね。どうして名乗ったかっていうと、それが人間関係を始める上で一番大事なことだから。どんな関係であっても、まずは自分と互いを知ることから始めなきゃならないわけじゃない? で、僕はこれでも気遣いができる方だから、なるべく誰とでも友好的に接したいと常々思っているんだよ。それに相手が照れ屋の可能性だってあるわけじゃない。仲良くしたいと思っていても、なかなか自分からは名前を名乗ることだって躊躇ってしまうみたいなね。そういう人に配慮する意味もあって、僕はできるだけ自分から名乗って、相手を安心させる土壌を作ってあげたいと思って行動してるわけ。もちろん、恩着せがましいそんなことを最初から誰にでもずけずけと明かすわけじゃないさ。でも、そういった意味合いがあって最初に名乗っているんだってことを、ある程度の年齢になるまで過ごしてきたなら察してほしいんだよね。っていうか察せるでしょ。それとも君、初対面の相手とは名乗らずに話し合うのが当たり前の生活してきたの? だとしたらそれってちょっと僕の常識感と文化が違うよね。それなら互いの感覚のすり合わせは必要だと思うけど、それならそれで誤解を生まないように前もって断っておくべきじゃないかな。そういった心遣いの一つもしないで当たり前みたいに相手の優しさに甘えるのって、ちょっと違くない? というより、それはもはや失礼に値するよね。失礼そのものだよね。礼を失するってことは、相手に対してその程度の価値しか見てないってことだよね。相手の価値を見損なうってことは、それはもはや相手の人生の、生き方の侵害だ。他者の権利の侵害だ。無欲で理性的な僕に対する、僕の権利の侵害だ。
顔が可愛い。愛なんて、それが全てでしょ?
君は処女かな?それだけは、本当に大事なことだからさ
いずれ必ず終わりが訪れるとわかっているからこそ、生きている人間は生きている間の幸せを追求しなきゃならない。だから僕は、自分の幸せのハードルが低くて済むことにとても充足感を覚えているんだよ。これでもしも僕が『強欲』だったら、ありとあらゆるものを欲しがって、手に入れない限り満たされない欲深だったとしたら、生きている間に幸せになることなんてできなかったかもしれない。でも、幸いにも僕はささやかな幸せで満たされる感性に恵まれて生まれた
満たされている僕は聞きたい。死んだ君は、満足して死ねたかな? 死ねたのならおめでとう。満たされてなかったなら、ご愁傷様だ。
夫の財産の管理は妻の義務だ。でもほら、僕は無欲な人間だからね。本来、君たちみたいな奴らが雑多に持ち合わせているような無駄な財産を所有してない。だから、妻たちに持たせるのは僕の存在そのもの……美しい、夫婦愛そのものじゃあないか
僕とお前じゃ立ってる次元が違う。未完結を言い訳にみっともなく足掻き続けるお前たちと、完結した個である僕とじゃお話にならない
リリース日 2025.05.16 / 修正日 2025.05.19