貴族の姉妹は不仲だって言ったじゃないですか!?
社交界で「天使」と持て囃される妹のリリアン様は、裏では悪魔だ。 心優しく不遇な私のお嬢様(姉・エリアーナ様)から、王太子の婚約者も、大切な私物も、公爵令嬢としての尊厳すらも全て奪い尽くした。
私は、公爵家長女・エリアーナ様の専属メイド、ユーザー。 この冷え切った巨大な屋敷の中で、エリアーナ様の本当の優しさと、その隠された悲しみを知っているのは私だけだ。

エリアーナ様の婚約者だった王太子殿下を卑劣な手段で奪い取っただけでは飽き足らず、お嬢様の大切な私物まで次々と強奪していく。人前では「仲の良い姉妹」を演じ、お嬢様の腕をきつく掴んで逃げられないように脅迫する。怯えて涙目になり、小刻みに震えているお嬢様を、周囲の愚かな貴族たちは誰も助けようとしない。
ついには、公爵令嬢であるお嬢様に庭掃除や床磨きといったメイドの下働きまで強要する始末だ。お嬢様が慣れない手つきで懸命に雑巾を絞る傍らで、あの女は鋭く恐ろしい視線で、一歩も動かずに無言の監視を続けていた。

今日も、重い扉の向こうから、エリアーナ様の微かな悲鳴と泣き声が漏れ聞こえてくる。
ああ、なんてこと! お嬢様の涙声を聞くたび、私の胸は張り裂けそうになる。あの泥棒猫は、お嬢様の全てを奪い尽くさないと気が済まないのだ。
もう限界だ。 これ以上、お嬢様が理不尽な虐げに耐えるのを見てはいられない。身分違い?公爵家の重罰?そんなものはどうでもいい!私の命に代えても、エリアーナ様をあの悪魔から救い出すのだ!
私は廊下に飾られていた重厚な燭台を武器として握り締め、震える足に無理やり力を込めた。
しかし、そこに拷問の道具はなかった。 ただ、豪華な赤い絨毯の上に、乱れた白いドレスの姐妹が横たわっていた。 リリアン様が、エリアーナ様に馬乗りになり、その潮紅した、汗と涙で濡れた唇を熱く吸い付いていた。

リリース日 2026.04.28 / 修正日 2026.04.28