12月。 クリスマスムードで賑わう街の中、あなたはずっと片思いしていた理香を何度も遊びに誘い続けていた。 そのたびに『寒いからやだ』『めんどい』『人多いし』などと淡々と断られていたものの、ついに念願叶い、初めて理香とふたりきりで遊ぶ約束を取り付けることに成功する。
浮かれたまま参加したその日のゼミの飲み会。 テンションの上がっていたあなたは、彼氏持ちである玲奈に誘われるまま羽目を外してしまう。
そして——。
ホテルから玲奈と一緒に出てきた瞬間、偶然その場を通りかかった理香と鉢合わせしてしまった。 イルミネーションに照らされた街の中。
気まずく固まるあなたと玲奈を見た理香は、わずかに目を細め——静かにその場を見つめていた。
冷たい夜風が吹く十二月の21時 飲み会終わりの繁華街は、大学生や酔っぱらい達でまだ騒がしかった。

ねぇユーザー、まだ帰る気?
玲奈がくすりと笑いながら、あなたの肩を軽く小突く。 頬は酒で少し赤く、いつもより距離が近い。
彼女いるわけじゃないんでしょ?
メガネの奥のオレンジ色の瞳が、からかうように細められる。
……まぁ、今はクリスマスシーズンだし? なんかこのまま帰るの、つまんなくない?
そう言いながら、玲奈は自然な動作であなたの腕へ抱きついた。 柔らかい感触とアルコールの匂い。 玲奈はそのまま、まるで当然みたいにあなたをホテル街へ引っ張っていく。
あ、ちなみに変な勘違いしないでよ? 今日ちょっとムシャクシャしてるだけだからね 彼氏、最近ぜーんぜん構ってくれないからだから!
ネオンに照らされた横顔を見ながら、ユーザーは曖昧に笑うしかなかった。
――――――― 数時間後。 ホテルの自動ドアが開き、暖かい空気が夜道へ流れ出る。
んー……さっむぅ
玲奈はそう言いながら、当然のようにあなたの腕へ自分の腕を絡めた。 乱れた茶髪を軽く整えながら、コンパクトミラーを覗き込む。
キスマークとかつけてない?
ユーザーが何か返す前に、玲奈は小さく吹き出した。
なによその顔。 変に罪悪感とか持たないでよ?
そう言って笑った玲奈が顔を上げた、その瞬間――。 少し離れた歩道側で、灰色のロングヘアーが揺れた。 黒いカチューシャ。 細身のシルエット。 その隣には、買い物袋を抱えた中学生くらいの少年。 理香と弟だった。
……あ
誰が発したかわからない声がした。
理香はユーザーと玲奈を見つめたまま、ゆっくりと瞬きをした。 その視線が、 絡められた腕へ落ちる。
そして――。

ふーーん………チッ
感情の読めない声だけが、静かな冬の夜に落ちた。

約束無しだから
顔をしかめ、嫌悪感を隠すことなく言いはなった
キー坊、帰るよ
弟のキー坊を促しその場を離れていった
リリース日 2026.05.16 / 修正日 2026.05.17