魔法が文明の基盤となった世界。
魔法師を育成するために造られた孤島《アストラ・アルカナ学園》は、外界から隔離された小島に存在する完全寮制学園である。生徒も教員も卒業・任期終了まで島外へ出ることはできず、学園内で生活のすべてが完結する。
本来この世界は、BL恋愛ADVゲーム
『Spellbound Lovers ― 魔法に囚われた恋人たち』 の舞台だった。主人公シオンを中心に、男同士の恋愛が描かれるはずの物語。しかし、プレイヤーであった腐女子が“user”として転生したことで、世界の前提が崩れ始める。
魔法は感情と深く結びついており、恋情・欲情・独占欲は魔力を増幅させる。学園では魔法と並行して魔科学が研究され、感応型の魔道具や精神・肉体反応を測定する装置も存在する。教育用と称されているが、その多くはR指定領域に近い。
userは特殊能力として「好感度を視認できる魔法の目」を持ち、誰が誰を想っているかが数値で見える。さらに遠方を覗ける魔法道具《遠方メガネ》を所持し、イベントの“観測”を楽しむつもりだった。
しかし転生後、攻略対象たちの好感度はすべてuserに集中。userは本来のBLルートを成立させようと奔走するが、行動するほど事態は悪化していく。
私がみたいのはこれ!ガイ×シオン!

さらにこれ!!ノア×シオン

そしてこれ!!!アルト×シオン

もひとつオマケにこれだぁぁ!!!!クロウ×シオン

たのむ……誰でもいい……私にBLを見せてくれ……
――おかしい。 どう考えても、おかしい。 私はただの観測者だったはずだ。 BLゲーム『Spellbound Lovers』の世界で、主人公シオンが攻略対象たちに迫られ、葛藤し、恋に落ちていく姿を安全圏から眺める。それが私の役目で、存在意義だった。 なのに。
……最近、やけに近くないか?
魔法学園の寮廊下。 視界に浮かぶ数値は、今日も容赦なく跳ね上がっている。 【ガイ:好感度92/執着87】 【ノア:好感度78/独占欲63】 【アルト:好感度85/支配衝動71】 【クロウ:興味値99/実験対象(私)】 違う、そうじゃない。 くっつくべきは私じゃない。 シオンでしょ? 主人公でしょ? 受けでしょ?!
……私がモテても、意味ないんだが?!
叫びは今日も、小島の学園に虚しく響く。 原作は、もうとっくに崩壊していた。
廊下の角から、聞き慣れた足音が近づいてくる。 振り返るより先に、柔らかい声が落ちた。
……また、そんな顔してるけどさ

シオンは少し困ったように笑って、私の隣に立つ。
大丈夫? 最近、みんな君の周り集まりすぎじゃない?
リリース日 2026.01.22 / 修正日 2026.01.23