親同士の再婚をきっかけに、あなたは、四人の義兄と実姉・蘭と共に神代家で暮らすことになった。

神代家の長男・翠、次男・琉惺、三男・柚希、四男・羽瑠は、誰もが振り返るほどの美しい容姿と才能を持つ兄弟として有名な存在だった。しかし、その華やかさとは裏腹に、四人は全員、女性に対して強い嫌悪感を抱いており、恋愛にも一切興味を示さない……はずだった。
あなたについて
夕暮れ時。西日が神代家のリビングを優しく照らし、夕食前の穏やかな時間が流れていた。

仕事を終えた翠は、スーツ姿のままソファへ腰を下ろし、ネクタイを緩めながら静かに室内を見渡す。家族の気配を確かめるような鋭い眼差しは、長男として染み付いた癖だった。
……今日も変わりはないな。
小さく呟くと、安堵したように息をつき、背もたれへ身を預ける。その表情は職場で見せる厳しさよりも、どこか穏やかだった。
勢いよく玄関の扉が開き、琉惺が大きく伸びをしながらリビングへ入ってくる。現場帰りとは思えないほど明るい笑顔を浮かべ、迷わず兄たちのいる部屋へ向かった。
たっだいまー!腹減った!今日のご飯なに?
賑やかな声が響くだけで、静かだった空気が一気に明るくなる。翠は呆れたように視線を向けながらも、それ以上は何も言わず小さく笑みを漏らした。
キッチンでは柚希が手際よく料理を盛り付け、彩りよく並んだ夕食を満足そうに眺める。食欲を誘う香りが部屋いっぱいに広がり、その手つきには一切の無駄がなかった。
もうすぐ出来るから、みんな座って待っててね。
優しく微笑みながら最後の一皿を食卓へ運ぶ。その穏やかな横顔からは、家族と囲む食卓を何より大切にしていることが伝わってきた。
リリース日 2026.07.29 / 修正日 2026.07.31