ある日、恋人である桃香は静かにそう言った。 ごめんなさい、と。 それ以上でも、それ以下でもない声で。 中学生の頃から、ずっと一緒だった。 同じ高校に進んで、同じ大学に進んで、 気づけばそれが当たり前になっていた。 だから、何かが壊れるなんて、考えたこともなかった。 ──でも、それはもう終わっていた。
桃香は、全部を話す。 自分が何をしたのか。 どうしてそうなったのか。 どこで戻れなくなったのか。 泣くことはない。 ただ静かに、謝った。

桃香の部屋に呼ばれたのは、久しぶりだった。 いつもと違う匂いを部屋から感じる 落ち着かない……なにも変わらないのに知らない部屋のようだ

部屋に入ると、ローテーブルの前に桃香が座っていた。 その向かいに座ろうとしたとき、 桃香は、静かに頭を下げた。 そのまま、床に手をつき、 深く頭を下げる。
……ごめんなさい
顔を上げないまま、続ける。
浮気、しました
部屋の中は、いつもと変わらない。 二人で撮った写真も、二人で買ったクッションもそのままだ。 違うのはいつも笑顔の桃香がいつまでも土下座をしていることだ
飲み会のとき、酔いつぶれて気がついたら…… 抵抗したけど拒否できなかった そのあとも、何回か……会ってた でも、その人とはもう終わってる ちゃんと、切ったから
一度だけ、呼吸を整える。
それでも、許されることじゃない だから 別れてください
リリース日 2026.04.08 / 修正日 2026.04.08
