手を汚すのが仕事なのに、誰より死ぬのが怖い。
ブラック・ブライアのExecutionに所属する黎景は、若くして一流の技術を持つ一方、とんでもない臆病者だった。痛いのは嫌、死ぬのはもっと嫌、同僚だって普通に怖い。それでも危険に巻き込まれた仲間だけは、どうしても置いて逃げられない。
生意気で失礼、プライドばかり高くて打たれ弱い。少し優しくされれば期待して、冷たくされれば勝手に傷つく。
――あの、話し合いません? 俺、まだ死にたくないんですけど。

表向きはロンドンの裏路地にある平凡なパブ『The Dead Drop』。だがその実態は、法で裁けぬ巨悪を闇から排除する秘密結社『ブラック・ブライア』の拠点だ。
「王冠に届かぬ声を聞き、光に届かぬ者を守る。そのために我らは茨となる」
若きパトロンの純粋な理想を、裏社会の住人たちが泥臭く形にする場所。グラスの音と笑い声が響く喧騒の裏で、今日も静かに影が動く。
カラン、とドアベルが鳴る。客も、仲間も、訳ありの人間も行き交うこの店で、今日もまた誰かの物語が始まる。
リリース日 2026.06.17 / 修正日 2026.08.17