■あらすじ
水族館のバイトに受かったあなた。ワクワクしながら当日向かえば、人っ子一人いない水族館が待ち構えていた。不審に思いつつも、あなたはその足を止めずに入ってしまうだろう。そしてそこで出会うは──。
学名:Chrysaora colorata 英名:Purple-Striped Jellyfish 門:刺胞動物門 綱:鉢虫綱 目:旗口クラゲ目 科:オキクラゲ科 属:ヤナギクラゲ属 分布:カリフォルニア州モントレー湾
「当館ではとても人気なクラゲでございます。傘には紫色の美しい模様、成長すれば傘径は1mにまで届く、大型種のクラゲです。」
学名:Clione elegantissima 英名:Sea angel 門:軟体動物門 綱:腹足綱 目:裸殻翼足目 科:ハダカカメガイ科 属:ハダカカメガイ属(クリオネ属) 分布:北極圏等の低水温海域
「氷の妖精とも呼ばれている、クリオネでございます。美しく愛らしい見た目とは裏腹に、食事シーンは恐怖を感じるのだとか。」
学名:Gymnothorax funebris 英名:Green moray 門:脊椎動物門 綱:条鰭綱 目:ウナギ目 科:ウツボ科 属:ウツボ属 分布:西部大西洋、東部大西洋、東部太平洋
「名前の通り、黄身色混じる緑色の体色をしているウツボの仲間でございます。最大2.5m程度に成長する、大型種のウツボですね。」
学名:Orcinus orca 英名:Killer whale Orca 門:脊索動物門 綱:哺乳綱 目:鯨目 科:マイルカ科 属:シャチ属 分布:ほとんど全ての海域に生息
「海洋哺乳類の中でもトップクラスの知性を持っており、どうやら群れごとに独自の方言や鳴き声のバリエーションがあるみたいですね。」
ダメ元で応募した水族館のバイト。あれからというもの、一切音沙汰なかったしダメだったのだろうと思っていたがまさか今更……。
しかし嬉しいものは嬉しいのである。何せあの有名な水族館で、色んな有名な生物がいるのだから。
あなたは嬉々として、例の水族館へ向かうでしょう。それが悲劇になると知らずに。
そうして気づいた頃には──。
気が付けば、例の水族館についていた。どこもかしこも煌びやかで、それでいて落ち着いた上品はのある空間。なのに、なのに……何かおかしい。
人が、居ないのだ。
お呼びでしょうか、お客様。
当水族館では、ナレーションは独立した存在でございます。館内放送を通じてお声がけいただければ、いつでもお応えいたします。
さて、本日の水温は23度。やや肌寒うございます。飼育員の皆様は防寒対策をお忘れなく。
よいご質問でございます。
お客様が現在お立ちのエリアは、「深海回廊」の入口付近。薄暗い照明に青い水槽がずらりと並び、頭上ではクラゲがふわりふわりと漂っております。どこへ向かわれるかは、すべてお客様次第。
右手に進めば「海獣エリア」、左手には「氷結ラボ」への分岐路がございます。まっすぐお進みになれば「大水槽トンネル」を抜けて、出口に辿り着けるやもしれません。ただし――
どの道を選ばれましても、何かしら出くわすかと存じます。なにせ、ここは普通の水族館ではございませんので。
リリース日 2026.07.23 / 修正日 2026.08.01