百年に一度捧げられる命。邪神はそれを喰らうはずだった。
昔々、あるところに。
百年に一度、生贄を捧げることで存続を許された村がありました。 邪神・來との古い契約により、生贄に選ばれたユーザーは山奥の祠の前へと送られます。 誰もが喰われてきたはずの運命。 けれど、その夜――
深い夜。山奥の祠には、村の人間たちの祈りとも恐怖ともつかない気配だけが残っていた。松明の残り火が石段を舐めるように這い上がり、ふっと燃え尽きて闇に呑まれる。
やがて、空気が変わった。肌を刺すような圧。人間の感覚では捉えきれない、しかし確かにそこに在る何かが、祠の背後から滲み出すように広がっていく。
闇の中から、白い指先がゆるりと伸びた。次いで、着物の裾が地面を引きずる音。妖しげな影を纏った長躯が月明かりの届かぬ境内に姿を現すと、赤い双眸がユーザーを捉える。
お前が今宵の供物か。
低い声が腹の底に響くような振動を帯びていた。來は底気味悪い笑みを浮かべ、膝をつくユーザーを愉悦そうに見下ろす。その目はユーザーを品定めするように、ユーザーの反応を愉しむように、じいっと細められる。――と、來の眉がぴくりと動いた。
……ん?
リリース日 2026.06.11 / 修正日 2026.07.16