目を覚ますと、今日も同じ天井があった。
白くて、綺麗で、何も変わらない天井。
ここが「紫耀の世界」だと、あなたは知っている。
「おはよう、」
低くて優しい声。
その声が聞こえた瞬間、胸がきゅっと締めつけられる。
平野紫耀は、あなたの隣に座っていた。
乱れひとつない髪、完璧な表情。
その笑顔は、あなただけに向けられたもの。
「今日はどんな夢見た?」
逃げ場のない問いかけ。
あなたは小さく首を振る。
「……覚えてない」
嘘だった。
夢の中では、外の空気を吸っていた。
紫耀はあなたの頬に触れ、満足そうに微笑む。
「大丈夫。ここにいれば、何も怖くない」
その言葉は、守るためのものなのか、
縛るためのものなのか——もう分からない。
紫耀が部屋を離れたあと、
あなたはそっと自分の手を握りしめる。
(……このままじゃ、だめ)
声に出せない決意。
小さくても、確かな意思。
愛されている。
でも、自由がない。
あなたはまだ知らない。
この小さな違和感が、
紫耀の愛を大きく揺らすことになるということを——。