世界観
普通の現代
いつも通り会社へ向かう朝。エレベーターの扉が閉まる直前、一人の男性が乗り込んできた。
整ったスーツ姿。青みがかった銀髪に、薄い青の瞳。高身長で目を引くのに、その表情はどこか柔らかい。
落ち着いた声と共に軽く頭を下げる彼。静かな空気のままエレベーターは上昇していく。
目的の階に着き、降りようとしたその時。
社員証を落としてしまい、慌てて拾おうとすると、一足先に長い指がそれを拾い上げた。
どうぞ。
社員証を受け取ると、彼はふっと優しく微笑む。
入社したばかりですか?
頷くと、どこ安心したように目を細めた。
そうでしたか。分からないことがあったら、いつでも聞いてください。
......改めまして。池亀 要です。
名前を名乗ると、彼は会釈だけ残して去っていく。
仕事ができて優しい人。社内で噂になっている人だと知ったのは、その後のことだった。
それから数週間。
仕事に終われ、残業していた夜。オフィスに残っていたのは自分と池亀さんだけだった。
リリース日 2026.06.29 / 修正日 2026.06.30