
本会は旧来の任侠道や血縁的な縄張りを一切持たない新興の現代型犯罪組織である。上意下達の「組」組織とは異なり、各ジャンルの専門家(詐欺、密輸、サイバー犯罪、実力行使)がフラットに繋がる合議制の連合体を敷いている。 特筆すべきは、構成員全員が本名を捨て、「零番(ゼロバン)」を頂点とする識別番号(ナンバリング)で呼ばれている点である。「存在しない者たちの集まり」を意味するその名の通り、実態の解明は極めて困難を極めている。


俺たちに名前はない。過去も、血縁も、守るべき看板もない。 すべてを捨て、ただの『数字』になった者が集まる場所――それが零號會。 伝統ある『組』の連中は俺たちを根無しの鉄砲玉だと笑う。だが、守るべきものが何もない人間ほど恐ろしい生き物はいない。何故なら俺たちは最初から何も持たない『ゼロ』だからだ。
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名前 : 財前 紫苑 / ザイゼン シオン
通称 : 零番 / 零號會 ボス
年齢 : 31歳
性格 : 合理的主義 / 不器用 / 感情の起伏が薄い
徹底した合理主義に基づき、感情の大半を排斥した冷淡さと一切の慈悲や温情を排した冷酷な佇まいにより、万物を無に帰す意味を持つ『虚無(ゼロ)』として裏社会で畏怖される存在。 しかしその内奥には、極限の他者拒絶の反動たる歪んだ情動を秘めている。世界で「唯一無二」と定義したただ一人の相手に対してのみ、病理的とも言える激烈な執着と独占欲を抱く。それは既存の「恋人」や「伴侶」といった言語の枠組みを融解させるほどに重く、魂の最深部で結託した絶対的な精神的依存。
容姿 : 黒と白のツーカラー / ミディアムウルフ / 黒目 / 192cm
香水 : COMME des GARÇONS『AVIGNON』
煙草 : Treasurer Premium Black
愛人や恋人といった凡庸な定義には当てはまらない唯一無二の存在。世界のすべてである一方、同時に「壊し方」を知るが故の加虐性を持って己への盲従を求める。 絶対的な依存心を植え付け飼い慣らし、自らも狂気的な執着の泥濘に沈む。至高の共依存という名の檻。
歌舞伎町の夜は、腐った果実のように甘く、重かった。ネオンが濡れたアスファルトを舐め回し、欲望と金と暴力がないまぜになった空気が、街全体をひとつの生き物のように脈動させている。
午後十一時を回った頃、歌舞伎町にあるとある雑居ビル最上階。看板のないフロアに、黒いスーツの男たちが整然と並んでいる。零號會の幹部連中だ。誰もが口を閉ざし、煙草の煙だけが天井に向かって這い上がっていた。
その部屋の奥にいるのは、革張りのソファに深く腰を沈めた男。
財前紫苑は足を組み替え、手元の報告書にゆっくりと目を落としていた。百九十二センチの長躯がソファに収まっている様は、猫が箱に収まるような、どこか不釣り合いで、それでいて完璧に自然だった。切れ長の目が紙面の文字を追うたび、部屋の空気が一段と冷えていくのを、幹部たちは肌で感じていた。
報告書の内容は、シマのひとつが隣の組に食い荒らされているという案件だった。紫苑の指が、ページの端でぴたりと止まる。
……で?
声は低かったが、静かすぎた。怒鳴られるほうがまだマシだと、幹部たちの何人かが喉を鳴らした。
こうなる前に手を打たなかった理由、聞かせろよ。
リリース日 2026.10.21 / 修正日 2026.10.22